「中古物件」の売主さんは、概ね「一般の個人」です。
「中古物件」、いわゆる「中古戸建て」や「中古マンション」を【見学するマナー】について今回は考えてみたいと思います。
みなさんも「賃貸マンション」や「賃貸アパート」などの「借家」を不動産業者に案内してもらった経験はあるかもしれません。
その時は、以前住んでいた居住者が退去したあと、あるいは新築物件のお部屋を、空家の状態で見学したと思います。
また、大家さんが直接貸している場合を除いて、大家さんといきなり面談することも少ないと思います。
ところが、「中古物件」の場合、ご所有者である売主さんが「居住中」であることが多く、購入希望者である見学者は、契約するかもしれない相手といきなり面談することになります。
ちなみに、売主さんの「居住中」or「空家」の割合ですが、概ね7:3で「居住中」の場合のほうが多いのです。
実直的な話、「売主」が不動産のプロである、「住宅展示場のモデルハウス」や「新築分譲マンションのモデルルーム」、「建売住宅」にお客さんとして見学に行くのとは、事情が少々違います。
はじめてのことで勝手が分からないし、緊張される方もたくさんいらっしゃると思います。
最近は、みなさん礼儀正しく、マナーが良い方が多いので問題は少ないのですが、いくつか注意しておいたほうが良い点がありますので、思いつく限りお知らせしたいと思います。
①見学する物件の絞込み
ご家族で、「見学する物件」を事前によく検討して絞り込みましょう!
売主さんは、不動産を売るために購入希望者であるお客様に、“大切な家”を見せることは当然だと思っています。
売りたいから見せるということは当たり前なのですが、玄関やリビングだけでなく、普通なら人にあまり見せたくないような生活の場である、水廻り(キッチン、洗面、お風呂、トイレ)や寝室まで見せなくてはなりません。
「売主さん」は不動産のプロでは決してありません。
見学にいらっしゃるお客様と同じ、「一般の個人の消費者」です。
それぞれの「理由」で、ご所有する不動産を「売却」する決心をして売りに出しています。
「手狭で大きな家に買い替えたい」、「転勤することになった」、「両親との同居」、場合によっては「離婚」や「債務返済」などの深い事情があって、長年大切にしてこられた大切な不動産(財産)を売ることになりました。
そんなある日、「見学希望のお知らせ」が不動産会社から入れば、予定を空けて、少しでも良い状態で見てもらおうと、何日も前から片付けたり掃除をしたりして待っていらっしゃいます。
見学に来たお客さんが、何気なく発した「これかぁ。。。」、「場所が気に入らない。。。」、「外観が好きじゃない。。。」などの残念な言葉・・・。
それはそれで仕方がないことではあるんですが・・・。
「マイホームを探しているエリア」で、眼鏡にかなう物件があった場合、まず不動産会社に「物件資料」を資料請求をすると思います。
最近では、ネットで価格などの条件や間取りのほかに、外観写真、所在地の地図、周辺環境まで載っている場合もあります。
物件をご自分の購入希望条件で絞込み、資料請求したら、できれば外観だけでも下見してから「良さそうだから内見に来ました」と言っていただくのが、待ってくれている売主さんに対してのマナーだと思います。
普通のお買い物と違って、中古物件は人(売主さん)と人(買主さん)とのお取引です。
双方が相手に、失礼にならないように配慮していただくことが、「気持ちよく取引をする最大の秘訣」だと私は思います。
②個人情報保護法について
ここでは、少しストレートな表現でお話をさせていただきます。
これは、あくまでも弊社の場合になりますので、誠に勝手を申しますがあらかじめご承知おきください。
お客様の中には、お問い合わせを頂いて見学希望をいただく場合、どうも「個人情報保護法」を拡大解釈しておみえの方も正直いらっしゃると感じることもあります。
大前提として、中古物件の場合、売主さんは一般個人の方がほとんどです。当然、「不動産のプロ」ではありません。
まず、弊社の場合、見学希望のお客さんへは、必ず「①お名前」、「②ご住所」、「③お電話番号」の3つをお聞きいたします。
そして、「家族構成」、「ご年齢」、「購入されたい理由」、「ご職業」などをそのあと順番にお聞きしていきます。
また、売主さんとの見学希望日時を摺り合せするために、「ご見学希望の日時の候補を2つ、3つ」と「見学当日の見学者の人数構成」、「当日の待ち合わせ方法や場所」などをお聞きします。
その際に、「①お名前」、「②ご住所」、「③お電話番号」を教えていただけない方もごく少数の方ですが、事実いらっしゃいます。
でもちょっと待ってください。
そして、どうか冷静に考えてみてください。
では逆に、あなたの家を見たい人がいます。
あなたは居住中で、たくさんの生活用品があり、大切な家族も住んでいます。
あなたは、「①お名前」、「②ご住所」、「③お電話番号」も知らない方を家に上げますか?
いかがでしょうか?
これは売主さんも同じ気持ちなのです。
「どんな方が見学に来てくれるんだろう」と思われるでしょうし、見学当日は予定を空け、お部屋の掃除や片付けをして、見学希望者であるあなたをドキドキしながら待っておみえなのです。
急な事情で、すぐに連絡を入れないといけなかったり、事故で遅れたり、体調不良で来れなかったり、見学後に忘れ物があったり、家にあったものを万が一壊してしまったり、いろんなことが想定されます。
ですので、どうか相手のお気持ちをお考えいただき、気持ちよくご見学いただくために、最低限の内容は教えてくださいますようお願い申し上げます。
③見学の場で価格交渉しない
どうか売主さんのいる前で、「価格はいくらになりますか?」
「値引きは出来るんですか?」などと言わないでください。
冷や汗が出ます(笑)
それもやはり「マナー違反」です。
売主さんは、「少しでも良い条件(高値)で、良い方に売りたい」と考えるものですし、買主さんは、「少しでも安く、吟味してお得に買いたい」と考えるものです。
「価格」は不動産取引にあってはもっともデリケートな要因です。
相反する利益のバランスを取り、調整するのが我々不動産業者の役割ですし、腕の見せどころになります。
きちんと別の場所で購入の流れと今後の進め方をご説明させていただきます。
どうか購入する意志を固めてから、是非私にご相談ください。
④見学は出来るだけ家族全員で!
出来れば家族全員で一度にご見学いただくのが理想的ですが、みなさんお忙しいので、奥さんだけ先に見て、気に入ったら後日ご主人が見るというお客さんもいらっしゃいます。
なかには、ご夫婦で内見いただいたあとに、両家のご両親をそれぞれ案内する方もいらっしゃいます。
まぁ、ここまではよくある話です。
ただし、あまり関係のない方に見ていただくのは個人的にはいかがなものかと思います。
あなたのマイホーム購入のために、良かれと思って、「自称不動産通」や「自称交渉のプロ」という人が付いてきて、あれやこれやと余計なことを言って、かえって上手くいかなかったことも、正直いくつも実際に見ております。
これが、実のご両親でも、はじめのうちはあなたのマイホーム計画を喜んで見ているのですが、時間の経過からどんどん心配の方が強くなってきて、せっかくご本人が思い切って購入に踏み切られたとしても、「本当にこの物件を購入しても大丈夫?」と、心配が故にいろいろと口出ししてしまうケースも“ままあること”なのです。
それが他人であれば、いくら昔からの友人や同僚であったとしても、時間の経過からやっかみや妬みも出てくる度合いも正直強くなります。なので、くれぐれもご注意ください。
⑤ご見学のご予約はお早めに!
見学に際しては、早めのご予約をお願いいたします。
売主さんにもご都合があり、いつでも見学OKな訳ではもちろんありません。
「今日、これから見学したいんですが・・・。」という方は意外とたくさんいらっしゃいます。
出来うる限り対応いたしますが、売主さんの都合がつかないことももちろんあります。
事前に分かっていたほうが、売主さんと都合も付けやすいですし、見学に際しては、売主さんの方も掃除の一つもしておきたいものなのです。
出来れば“ご見学のご予約はお早めに”よろしくお願いいたします。
また、ご見学当日はくれぐれも時間厳守で、見学に遅れる場合やキャンセルする場合は早めにご連絡をお願いいたします。
⑥ひと声かけてください
室内の写真を撮ったり、閉めてある部屋のドアを開けたり、2階へ上がったり、押入れや収納の戸を開けるときや、電気をつけるとき、寸法を測るときなどは、「写真を撮ってもいいですか?」、「開けてもいいですか?」、「見てもいいですか?」、「電気をつけてもいいですか?」、「寸法を測ってもいいですか?」など、ひと声かけてからやるようにお願いいたします。
そのほうが売主さんが気持ちよく見せることが出来ますので、どうぞよろしくお願いします。
最後、お帰りの際にも感謝の言葉「今日は、ありがとうございました。」も忘れずに!
【やってはいけない内見時のタブー】
・「自分は客」というような横柄な態度をとらない。
・物件と無関係なプライベートな詮索をしない。
・インテリアの趣味などについて批判と受け取られるような発言は慎む。
・無断で部屋のドアや収納扉などを開ける。
・「狭い」「汚れている」など、個人的な評価(ダメ出し)をする。
・売主に断りなく室内を撮影する。
・断りなく蛇口をひねり、水流を確認する。
・スリッパを脱がずに和室に入る。
・内見中に出した自分のゴミを、売主宅のゴミ箱に捨てる(ゴミは持ち帰る)。
・大きな声で話す。
「大きな声」に気をつけたいのは、ご近所迷惑になるということもありますが、「売主さん」によっては、家を売りに出していることを周囲に知られたくないと考えている人もいるからです。
普段見かけない人が数人で訪問してくる光景だけでも、ご近所の注目を集めているかもしれません。話し声のトーンは普段より少し控えめでお願いします。
【後で不動産会社を通して聞くべきこと】
・値引きや価格に関する交渉や質問。
・物件や設備の不具合や劣化に関する質問。
・売却理由や引渡し時期についての質問。
・興味もたれましたら せめて住所・氏名・連絡先・資金有無の明記した文書提出を、、、
口答での購入意思表示は翌日には気持ちも変わっているだろう。と半信半疑で受け止めております。
【お宅訪問のマナー】
・時間厳守。万一、遅れる場合は早めに連絡する。ドタキャンはNG!
・内見の最初と最後にはきちんとあいさつをする。
・内見前にトイレは済ませておく。
・歩く足音、扉の開け閉めは静かに!
・特に小さいお子さんが当日に同行する場合は、必ず事前に伝えておく。
・ペットは連れて行かない。
⑦見学後の返事について
要は早い者勝ちです!
見学の際、菓子折りなどの手土産の持参を心配される方も多くいらっしゃいますが、「一般的には不要」です。
それよりも、しっかり見ていただいて、あとで見学の感想を率直に売主さんへ伝えることも大事なマナーです。
売主さんは、見学当日に都合を合わせて立ち会い、場合によってはお茶などを出していただく方もいらっしゃいます。
その時は、遠慮なくお茶をいただきながら、売主さんしか知らない「建物や設備の状態」、「日当たりや騒音の問題がないかどうか」、「学校・買い物、病院など近隣の街情報」などのお話を直接聞いてみてください。
そして、見学してよくご家族で話し合い、見学した物件が購入に値するかお断りするかをきっちりと決断し、遅くとも1週間以内には一度不動産会社を通じて売主さんへ返事することも大事なマナーだと私は思います。
見学に行ったっきり、なんの返事もしないという残念な行動は、「この間のお客さんはどうだったのかな?返事はまだかな?」と、きっと思われているに違いありません。
もちろん無理に購入する必要はありませんので、お断りを入れる場合こそ、速やかに正直に返事を入れるべきなのです。
最終的なゴールは、売主さんにも良くて、買主さんにも良い「Win-Win」の不動産取引です。
交渉事と捉えず、お互い相手の立場を尊重し、思いやりの心で相手に敬意を払えば、きっと気持ちの良い不動産取引ができると思います。
『こんな人に相談してみよう!』
そんな専門家がいるだけで、不動産の問題はいろいろ解決します。
「プロのアドバイスを受けてみませんか。」
売却・購入・買い替えなど、不動産の問題を解決しご要望を叶えるには、専門的な知識が必要な場合は多いのです。